一行日記は、その日のできごとや気持ちを一文で残す書き方です。長い文章も、特別な出来事も必要ありません。「帰り道に金木犀の香りがした」のように、あとで読み返した自分が一場面を思い出せれば十分です。
始めるときは、日付を書き、今日の一場面を選び、一文で終える。まずはこの3つだけで試してみてください。この記事では、何を書くか迷った日に使える型と、書き方を示す架空の例文を紹介します。
まずはこの3つの型から選ぶ
毎回同じ型でも構いません。文字数を数えるより、ひとつの出来事や考えに絞ると書きやすくなります。
| 残したいこと | 文の型 | 例文 |
|---|---|---|
| 今日の記憶 | 「今日は〇〇があった」 | 「今日は父から、庭のトマトが赤くなったと電話があった。」 |
| 気持ち | 「〇〇のとき、△△と感じた」 | 「打ち合わせで意見を最後まで聞いてもらえて、ほっとした。」 |
| 明日の一歩 | 「今日は〇〇。明日は△△する」 | 「午後は予定を詰めすぎたので、明日は昼休みを先に確保する。」 |
3つ全部を埋める必要はありません。「記憶を残したい日」と「気持ちを整理したい日」で型を変えてみましょう。
一行日記を書く手順
1. 書く場所をひとつ決める
小さなノートでも、スマートフォンの日記アプリでも大丈夫です。最初は「どこに書いたか」を探さなくて済むように、ひとつに決めます。迷う場合は、紙とデジタルの日記の違いを参考にしてください。
2. すでにある習慣のあとに置く
たとえば「歯を磨いたあと」「夕食の片付けのあと」「電車を降りる前」。時間を厳密に決めるのが難しければ、行動を目印にします。夜に書くと眠くなる人は、昼休みに前半日のことを書いても構いません。
3. 一日の要約ではなく、一場面を選ぶ
「今日は仕事をして、買い物をして、夕食を作った」では、毎日似た文章になりがちです。その中から「買い物で久しぶりに好きなパンを見つけた」のように、ひとつを選びます。
4. 一文で閉じる
書き足したい日は続けてもよいですが、毎回長くする必要はありません。一行で終えても、その日の記録はできています。
今日の一行をMuse Journalに
iPhoneで日々の出来事や気分を記録できます。まずは今日、覚えておきたい一場面から。
場面別の例文12選
以下はすべて架空の記入例です。自分に近い場面を選び、出来事や言葉を置き換えて使ってください。
うれしいことがあった日
- 「友人が前に話した好みを覚えていて、おすすめの本を教えてくれた。」
- 「初めて作ったスープが思ったよりおいしくて、レシピを残しておきたくなった。」
- 「朝の散歩で、いつもの猫が近くまで来てくれた。」
「うれしかった」だけでも書けますが、何があったかを添えると、あとでその場面を思い出しやすくなります。
忙しくて余裕がなかった日
- 「返信を急ぐあまり昼食を後回しにしたので、明日は12時に席を立つ。」
- 「予定は全部終わらなかったが、いちばん気がかりだった連絡はできた。」
- 「今日は疲れたので、続きは明日にして早めに休むことにした。」
無理に前向きな結論を付ける必要はありません。「疲れた」という記録にも、その日の自分が残っています。
特に何もなかった日
- 「いつもの帰り道で、新しく開いた小さな店に気づいた。」
- 「昼に食べたみかんが酸っぱくて、少し目が覚めた。」
- 「洗濯物を畳みながら、昔よく聴いた曲を流した。」
大きな出来事がなければ、食べたもの、聞こえた音、天気、会話のひと言などから選んでみてください。
うまく言葉にならない日
- 「今日は気持ちを説明しにくいので、曇り空のようだったとだけ書いておく。」
- 「何に引っかかっているか、まだ分からない。」
- 「書きたいことはあるけれど、今日はここまでにする。」
詳しく書きたくないことを、無理に掘り下げる必要はありません。出来事をひとつ記録して終えても大丈夫です。
7日間の始め方
これは「7日で習慣が完成する」という計画ではなく、自分が使いやすい型を探すための試し方です。順番を変えても、途中から始めても構いません。
| 日 | 選ぶテーマ | 書き出し |
|---|---|---|
| 1日目 | 覚えておきたい場面 | 「今日、覚えておきたいのは…」 |
| 2日目 | 食べ物や景色 | 「今日、目に留まったのは…」 |
| 3日目 | 誰かとの会話 | 「〇〇と言われて…」 |
| 4日目 | 気持ちの変化 | 「〇〇の前は△△、終わると…」 |
| 5日目 | 小さな工夫 | 「今日は〇〇を少し変えてみた…」 |
| 6日目 | 明日の自分へ | 「明日はまず…」 |
| 7日目 | 一週間からひとつ | 「今週、残しておきたいのは…」 |
テーマをもっと選びたい場合は、目的別のジャーナリングプロンプト50選からひとつ借りてみてください。問いへの答えも、一行で構いません。
続かなかったときは、今日の一行から再開する
空白の日を全部埋めようとすると、再開する前に宿題が増えてしまいます。数日空いたら、今日の日付で「久しぶりに開いた。今日は〇〇があった」と書いて再開できます。
書けなかった理由が毎回同じなら、やり方をひとつだけ変えます。
- 夜は眠くなる: 昼休みや夕食前に書く。
- 何を書くか決まらない: 「今日、覚えておきたいのは…」に固定する。
- 人に見られそうで書きにくい: 保管場所や端末のロック設定を確認し、残す内容も自分で選ぶ。
- 毎日が負担になる: 週に数回や、残しておきたい日だけにする。
連続記録を守ることより、自分が後で読み返したい記録になっているかを目安にしてください。
読み返すときに見る3つのこと
一週間ほど書いたら、気になった一文に印を付けてみます。
- 残してよかった場面はどれか。 来週も似た種類の記録を残したいか考えます。
- 繰り返し出てくる言葉はあるか。 「急いだ」「散歩」「友人」など、何度か登場した言葉を探します。
- 次に試したいことはあるか。 たとえば「来週も昼休みに外へ出る」のように、具体的な一歩を選びます。
短い記録だけで、自分の状態や行動の原因を決めつける必要はありません。気づいたことを、次の記録で確かめるくらいで十分です。
よくある質問
本当に一行だけでよいですか?
はい。一行日記では、長さより「今日は何を残すか」を選びます。スマートフォンの画面で二行に折り返されても、やり直す必要はありません。一文程度、と考えると気楽です。
毎日同じ内容になります。
「今日も仕事で疲れた」から、「どの場面で」「何をしたあとで」と少し具体的にしてみます。ただし、同じような日が続くこと自体をそのまま記録しても構いません。
悪いことを書いてもよいですか?
よいです。楽しいことだけを書く必要はありません。書いていてつらくなる場合は、途中でやめる、具体的な出来事だけにする、別のテーマに変える、といった選び方ができます。
朝と夜、どちらがよいですか?
振り返りを残したいなら夜、今日の予定や意図を残したいなら朝が使いやすいことがあります。実際に書けるタイミングを優先して試してください。夜の書き方は夜のジャーナリング習慣でも紹介しています。
今日の一行
まずは「今日、覚えておきたいのは…」と書いて、ひとつだけ続けてみてください。出来事が思い浮かばなければ、今いる場所の音や、今日食べたものでも大丈夫です。その一文を残したら、今日はそこで終えて構いません。



